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「 夢の肖像 」

2021
ceramic, single-channel video

夢の肖像: テキスト
夢の肖像: 作品
夢の肖像: 動画

幼い頃からバレエをやっていた私は、物心ついた頃には舞台に立っていた。
役を与えられ舞台に立つ経験を何度もするうちに、舞台上の自分が私であるかどうか疑問に感じるようになった。役に入り込めばこむほど、舞台上の自分が空洞になっていく。もちろんそれは私の身体だが、中に滞在しているのは本当に私だろうか。舞台上ではすっかり役に乗っ取られた自分に、私が入る隙など無くなってしまう。私はどこへいったのだろう。

夢を見ているようだった。

バレエの有名な演目に「くるみ割り人形」というお話がある。
バレエの演目にはよく夢のシーンが登場するが、この演目はほとんど主人公マリーの夢のシーンで展開されている。
役に入り込むことをやっと意識し始めたような幼い頃、そんな夢の中に出てくるネズミの一匹を演じたことがある。夢の中のような舞台で、誰かの夢の一部になるというのは幼いながらに奇妙な感覚であった。無意識の中の無意識に入り込むような気味の悪さと高揚感だ。

マリーの夢の中のネズミは、この世に存在すると言えるのだろうか。

夢の肖像: テキスト
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